Vol.6ファッションディレクター

濱中鮎子

スター猫と過ごす、愛おしい日々

洋服と時間の関わりを再考するファッションディレクター

  • ミュージアム
  • 壁にかける
  • ペット
木のテーブルで猫がくつろぐ、壁にWALL DECORがある明るい空間

「WALL DECOR journal」Vol.6は、レディースブランド「Uhr(ウーア)」を立ち上げた、ファッションディレクター・濱中鮎子さんをお迎えしました。

2018年1月 取材・文:BAGN Inc 撮影:藤堂正寛

ー濱中さんの愛猫チャイは、様々な媒体でお見かけしますね。出会いについて教えていただけますか?

静岡県にあった猫カフェが何かの事情で閉店した際に、ある方がお店と猫をそのまま引き取り、そこで里親の活動もされはじめて。チャイはその猫カフェのオリジナルスタッフでした。のちにチャイのお腹に病気があること、加えて多頭飼いにも向いていないということがわかり、里親サイトに出されていました。ネガティブな情報とともに「この子をもらってくれませんか?」とネット上で二ヶ月ほど掲載されたままだったので、ずっと気になっていて…ならば夫と会いに行こうと。すぐに一緒に暮らすことを決めました。

明るい白背景の前に座る、薄茶色の毛並みをした平たい顔立ちの猫。少し視線を落とした静かな佇まい。

ーチャイというお名前は?

もともとついていた名前なんです。猫カフェ時代は副店長でした。店長ではなく(笑)。一緒に暮らしはじめた時が4歳。5月で8歳になります。

明るい窓際で、膝の上の猫を優しく撫でながら微笑む女性。穏やかな光が差し込む室内で、リラックスした表情を浮かべている。

ーチャイ、いいお家に迎えられて良かったね。四年の間にスター猫になって…少し前になりますが、チャイが雑誌の表紙になり大きく話題になっていましたね。ファンの方々は駅の構内や地下道に貼られた雑誌の告知用ポスターの前で記念撮影をされていたようで。

私も同じようにやってしまいました(笑)。家にいるのに。

ーチャイとの生活がはじまり、濱中さんの生活にも大きな変化はございましたか?時間の使い方や働き方だったり。

ありますね。家に帰りたくなりましたね。特に今の家に引っ越してからは階段があるので、チャイが降りてくる姿が見られて、可愛いんですよ。チャイは全然ひとりで平気なんですけど、やっぱり週末明けの月曜日とかすごく甘えるので、後ろ髪を引かれる思いで仕事に行きましたね。いい感じにチャイに束縛されている気がします(笑)。それまでは旅行とかもバンバン行ってたんですけど、チャイと暮らしてからは考えて考えて、、減りましたね。うちは旅行するとき、環境を変えてチャイにストレスを与えたくないので、友達か家族に泊まってもらうんですよ。家中の使い方のファイルとか作って。だいたい分かってる友達なんですけど、一度夫婦ふたりで1週間出張というのがあって、その時も友達に泊まってもらいましたね。旦那のお母さんに泊まってもらったり(笑)。

ー濱中さんのご自宅はミッドセンチュリーの家具とクラフトやアートがミックスされていて、採光も良く素敵な空間ですのでお泊りする方も嬉しいでしょうね。チャイもストレスなくお留守番できますね。

ご覧通り、誰が来ても平気で甘えるので。ご飯のときは特に(笑)。私たち夫婦が不在時も楽しくやっているようです。

白い壁と明るいフローリングのリビングルーム。大きく枝を伸ばしたモンステラの鉢植えを中心に、シェルチェアや幾何学模様のラグ、紫の花が飾られたテーブルが置かれた、開放的なインテリア。

ーそれでは今回パネルにしたものをご覧ください。こちらになります。

チャイ、見て!!すごいよ!とても軽いですね。

紫の花が飾られたテーブルで、箱を開ける女性とそれを見守る薄茶色の猫。明るい光の中で、二人の穏やかな日常を切り取った一枚。

ーかなり軽量設計になっています。まずはどちらに飾りますか?

こちらのダイニングに。引きと寄りのと1枚ずつでバランスとろうかな?選びがたいです…。私たちがここでご飯をたべているとチャイもご飯を食べに来るんですよ。三食一緒に。ご飯は朝晩でわけてあげてるんですけど、なぜか上手に残したりして3回にわけてチャイも一緒に参加するんですよね。

木製テーブルの上で猫がくつろぐ、北欧風の照明や豊かな観葉植物に彩られた明るいダイニングルーム。壁面にはWALL DECOR が飾られている。

ーそれは愛おしいですね。チャイのご飯とお水のボウルは、カリフォルニアの作家「Kat & Roger(キャットアンドロジャー)」のもので。なんとも贅沢でおしゃれな食卓です。このチャイの階段の上の段から見下ろした表情もたまらないですね。これはスマートフォンのカメラで撮った写真ですよね?

はい。一度熊本の実家に連れて行ったことがあって。飛行機だと不安だったので、キャリーバックにいれて膝の上にのせて新幹線でものすごく時間をかけて。それで、熊本の実家で階段を覚えたんですよね。それからこの家に引っ越してきて、楽しそうに登ったり下りたりしています

ー猫にとっての階段は絶好の遊び場ですよね。濱中さん、実際にフレームを飾ってみていかがですか?

いや~、本物がここにいるのにずっと眺めてしまいますね(笑)。「ギャラリータイプ」の浮いている感じとサイズ感がいいですね。思った以上に軽かったので飾りやすい。額に入れて、とかだと場所をとってしまうイメージなんですけど、少しのスペースでも飾れるのが良いですね。

本棚と植物のある部屋の壁に飾られたWALL DECOR ミュージアム
  • ー次はリヴィングにも飾らせていただきますね。チャイはブリティッシュ・ショートヘアの中でも珍しいお色ですね。

    そうですね。グレーっぽい子や白とグレーの毛色の子はいかにも洋猫っぽいんですけど、チャイってきなこっぽいというか、和風に見えるんですよね。でもはい。ブリティッシュです(笑)。(並べている様子を見て)めちゃくちゃ可愛いですね。あー、これでチャイの写真展やりたいです。

  • テーブルに座る猫と、その周りに並んだWALL DECOR
白い壁に、愛猫の様々な表情を捉えた3枚のWALL DECOR ミュージアムが並ぶ様子。手前には観葉植物や松ぼっくり、香水瓶などがディスプレイされている。
  • 木箱の上に置かれた器で食事をする薄茶色の猫を真上から捉えた俯瞰ショット。白い壁際にWALL DECORや鉢植えが並ぶ、清潔感のある日常の風景。
  • サーフィンの写真とタイポグラフィがデザインされた大きなアートポスター。その下の床面には、LOEWEのアートフレームや観葉植物、バスケットが並ぶモダンなインテリアの壁面。

ー写真展が開催されたら、ファンとしては色んな表情のチャイが見られるので嬉しいでしょうね。フレームにしてもその魅力が溢れてますから。ちなみにチャイはいま何キロですか?

もらってきたときは5.5キロで、まだおなかとかしゅっとしてたんですよね。で、いまは7キロちょっとに成長しました(笑)。猫にしてはだいぶ大きく…なりましたね。チャイ、こんな風にパネルにしてもらえてホント良かったね。嬉しいですね~。

明るい光が差し込む窓際のテーブルで、目を細めてくつろぐ薄茶色の猫。傍らには積み重ねられた本と、鮮やかな紫の花が飾られている。

ー同じ場所に同じものを飾りっぱなしにするのも良いですが、季節や気分によって変えたりしたいときに、「WALL DECOR」の気軽さは適しているんじゃないでしょうか。推奨されるフックもサイトに掲載されていますのでご参考にしてみてくださいね。

はい。ありがとうございます。データだとあまり考えずに撮りっぱなしにしてしまいがちですが、こうやって気軽にパネルに出来て飾れるのはいいですね。

明るい白地の階段をトコトコと降りてくる、薄茶色の毛並みの猫。こちらをじっと見つめる、日常の何気ない瞬間を捉えた一枚。
白い階段に静かに座り、正面をじっと見つめる薄茶色の猫。落ち着いた佇まいで日常のワンシーンを切り取った一枚。
  • ーところで前職をお辞めになられて、ご自身のブランドをはじめたそうですが、これにもチャイからの影響はありますか?

    チャイとの時間を作りたいなというのは正直ありましたね。もちろん命も限られているし、私が元気で健康でいて、相手をしてあげないとと思うと、働き方を変えるのも手だなと。いつもだいたい私が先に帰ってくるのですが、帰宅したら小一時間くらいは一緒にあそびますね。チャイの甘えタイムがあるんですよ(笑)。それを受け止められるくらいの心の余裕を残して帰ってくるようにしていますね。それから夕飯の用意するとか、ですね。ありがたいことに独立してからも色々とお声掛けをいただいて、もう少し時間があるといいな、とは思いますけど。退職すると同時にブランドをやろうと思い、「Uhr(ウーア)」という名前で立ち上げました。ドイツ語で時計とか時間という意味です。

  • 店先で椅子に座っている女性を、暖かい光が包み込む幻想的な写真
明るい光が差し込む部屋で、アート写真が掲載されたフォトブックをめくる女性の俯瞰ショット。手元にはドラマチックな色彩のポートレートが広げられている。

ー「Uhr」というお名前には、ご自身が自分の時間軸で生きていこうという指標のようなものも込められているんですか?

洋服と時間の関わりを考えてみると、例えば写真もそうだと思うんですけど、自分の思い出に残っている場面て、何を着ていたとか、大事なあの日にこの服を着ていたとか、そんな風に時間と服って密接に関わっていて、思い出とも繋がっているものなんだな、と思えたんです。そういう時に「時間」でなにかいい単語がないかな?と思って出会ったのが「Uhr」だったんです。字面も響きも良いなと思って。服もずっと持っているとそれはやがてヴィンテージになっていきますし、そういった誰かのクローゼットの中でずっと大切にされている洋服、そういう長い時間を共に過ごすものであったらいいな、という思いもあります。

ーなるほど。濱中さんが洋服作りをするにあたり、インスピレーションにしているものはございますか?

私は生地や素材をじっくり見るのが好きなんです。例えばメンズに用いられる素材でも、面白いと思ったら使いますし。テーマを設けてそれに沿ってイメージを構築するデザイナーのような思考回路ではなくて、ひとつの素材から広げていくことが多いですね。前職からの影響か、そういう考え方が多かったように思いますね。

本を見ながら微笑む女性

ー今の時代において、面で捉えるような分かりやすいもの作りが多い中、濱中さんは点から広げるような物作りなんですね。

そうですね。でもそういう生産背景って、お客さまの元に届くまで目に見えないことなんですけど、1000円のカットソーでも10000円のカットソーでもいい写真に仕上がってしまうと、正直その写真だけでは伝わりにくい部分もあるのですが、そこは出来る最大限のパフォーマンスを尽くしたいと考えていますね。

ー確かにビジュアルで伝えていくのか、言葉で伝えるのかという方法にもよりますよね。

はい。やれることは限られてますが、良さを伝えて。実際に手にとってもらったときに「あ、予想以上にいいね」って言ってもらえたら嬉しいです。いまパートナーの女性がひとりいて、彼女はマネジメントを担当してくれていて、私はディレクション担当で。どのような方向性で作っていこうとか、それをどのようなビジュアルでどうやって見せていこうかとか、そういったことを考えるのが私の役目ですね。あとはパタンナーさんもいますし、細かい仕様をデザインに起こしてくれるデザイナーさんもいますね。そういった人たちを介在して物作りをしています。今はクリエイティブの部分に注力できるのでとてもありがたいですね。

都会の横断歩道に立つ女性のモノクロポートレート。白いノースリーブに大きなイヤリングが印象的な横顔。背景にはタクシーが走る街並みが広がる。

ー実際にブランドがスタートしてみていかがですか?

そうですね…会社員には会社員の良さがあるし、今は今ですごく自由になっている部分もありますね。個人で物作りをしていると、やっぱり限界もあって、要は素材からこれを作りたかったけれど、明らかにこなせない量をつくらないと実現しないとか、コストの問題にも当たっては来ますが、逆に言えば次の目標にもなるんですね。あとは責任のある自由みたいなものも感じていて、他人事ではいられないなって思いますね。どれだけ会社員時代に守られて来たのか、とてもありがたく感じることもしばしばです。あとは前職時代にマスな部分を見てきていて、それまでは自分の年齢よりも下の人に向けたエントリーアイテムを作っていたんですけど、30代半ばで立ち止まったときに、もうちょっと自分に無理のない状態で、努力のいるわがままなんですけど、好きな人たちと好きな時間に好きな仕事をしたいという目標があって、そのためにいい物作りをしていきたいなと思いますね。自分でも相当努力がいることだと覚悟はしていますが(笑)。

明るい光が差し込む室内で、大きな観葉植物を背景に満面の笑みを浮かべる女性。リラックスした自然体な雰囲気を捉えた一枚。
女性の肩に抱かれ、穏やかな表情で遠くを見つめる薄茶色の猫。女性の背後にはモノトーンのアートフレームが飾られた、親密な空気感の漂う日常のひとコマ。

ーとても自然で無理のない、しなやかな考え方ですね。

そうですね。私はデザイナーになると決めてデザインの勉強をしてきたわけではないので、その辺は割と俯瞰で見れるような仕事をしてきたと思っています。数字を前提にした物作りも経て、それをわかった上で、どういったものをどれくらいのスタンスで出していくか、前職の経験も活かしていけたらな、と。まだ途上ですけど。

ー未来の目標はありますか?

どんな体型や年齢の方でも合わせやすい形の服を心かけているので、変わらずにずっと着てもらえるものを作っていきたいですね。そのまま変わらずに、出来る限り流されずに、洋服を作り続けたいですね。「Uhr」ってこういうものだよねって認知してもらえて着てもらえたら嬉しいです。

明るい日差しが差し込むリビングで、レザーソファに座り微笑む女性。手元には写真パネルを持ち、リラックスした表情。

ファッションディレクター

濱中 鮎子

熊本県生まれ。明治大学経営学部を卒業後、ビームス入社。PR、ブランドディレクターを務めたのち、2016年秋に退社。その後フリーのPRなどをしつつ、2018年春夏コレクションより自身がデザイナー&ディレクターとなるブランド「Uhr(ウーア)」をスタート。

Uhr(ウーア)

http://uhr.co.jp/

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